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「魔法は探し求めている時が一番楽しい」


by chatnoir009
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DISC

 RUSIで回覧文書をぼーっと眺めていたら、International Intelligence Director’s Course という面白そうな議題が載っていましたので、ちょっと調べてみました。どうやらこれはChicksands の英空軍基地内に設置されている、国防大学校下のDefence Intelligence and Security Centre という情報教育機関のようで、日本で言えば小平学校にあたるのでしょうか。詳細は不明ですが、同センターではイギリスの軍事、警察、情報機関、そして提携している外国の軍情報関係者にインテリジェンスの訓練を施しているらしいです。同基地にはプロパガンダ等を専門とする、第15心理作戦部という部隊も常駐しているようです。日本の陸上自衛隊でも2010年3月から情報科が設置されるということですので、是非とも同課の幹部にはこのような機関でインテリジェンスの実務について学んでいただければと思うのですが。

 話は変わりますが、先日、リサーチのためにイギリスに戻ってこられた地政学の専門家、奥山さんと再会することができました。今、奥山さんのブログでは「横綱論」がブレイクしているようですので、「横綱論」と「究極の戦略」についてじっくりとお話を伺うことができました。早速実践してみようと思います。
# by chatnoir009 | 2009-06-16 19:26 | その他

7/7 Report

 英下院の情報・セキュリティー委員会が、2005年7月7日のロンドン同時爆破事件に関する調査報告書を公表しました。報告書が108ページもあるので、全部に目を通したわけではありませんが、要約すると、①2005年までにMI5は対テロ活動でかなりの実績を挙げていた、②2004年3月の「隙間(Crevice)作戦」によって、パキスタンで多くのテロリストや証拠物品を鹵獲し、その中にはロンドン・テロを実行することになる犯人の写真やビデオも含まれていた、③ところがMI5は人員・予算不足からその後、この実行犯を監視し続けることができず、それがテロに繋がった、という内容になるかと思います。9・11テロの場合、アメリカのインテリジェンス・コミュニティーでうまく情報が共有されなかったことが問題とされましたが、イギリスの場合は人員・予算不足によるところが大きかったようです。
 個人的にはMI5に若干同情気味の内容だったかな、という印象を受けましたが、テロ以降もMI5は精力的に対テロ活動を行なっており、それが勢いあまって前々回のブログにも記しましたように、テロとは関係のない人物を捕まえてしまったということになるのでしょう。報告書によりますと、MI5の予算は2001年から2010年までにはほぼ倍近く増額されており、また2007、2008年にはロンドン・テロの関係者と見られる70名近くの容疑者が逮捕されてるということも判りました。政府がいかに対テロ活動に力を注いでいるのかが伝わってきます。ところで同報告書では秘密情報部は「MI6」で記述されています。私は公式文書では「SIS」だと思い込んでいましたので、ちょっと意外に感じました。
# by chatnoir009 | 2009-06-04 21:52 | インテリジェンス

Italian Intelligence

 またもやキングスカレッジで、今度は米国海軍大学校のブライアン・サリバン教授を招いた研究会に出席してきました。サリバン教授の研究は、ムッソリーニ政権下のイタリアのインテリジェンスに焦点が当てられていまして、なかなか興味深い内容となりました。最近話題の「ヘタリア」のせいか、イタリアのインテリジェンスに対するイメージはぱっとしなかったのですが、サリバン教授のお話を拝聴してそのような偏見を拭い去ることができました。教授によりますと、イタリア政府も1990年代後半にインテリジェンス関連資料を公開しまして、1945年までの本格的な情報史研究が可能になったそうです。この情報公開によってイタリアのインテリジェンスの再検討が可能になりまして、その論点は、①イタリアは1920-30年代に東欧、バルカン、ソ連各国にヒューミント網を築くのに成功していた、②イタリア国内の各国大使館、公使館に対しても、ソ連・ドイツ以外にはすべて浸透していた(ということは日本大使館にも!?)、③ただしムッソリーニは従来の軍警察(カラビニエリ)の情報機関を掌握することはできず、新たに軍事情報部を統合した、というものであります。
 細かい話に関しては詳細が定かではないのですが、教授によりますとイタリアの情報機関は1939年4月には既にドイツのポーランド侵攻を掴んでおり、このことがムッソリーニを5月の独伊軍事同盟に向わせた、といった興味深いエピソードを拝聴しました。またコンスタンティニ兄弟による情報収集活動など初耳の話が多く、大変勉強になりました。そして驚くべきはやはり日本陸軍があれほど手こずったソ連への浸透を、イタリアの情報機関が成功させていたということでしょうか。イタリアの情報機関は1920年からハンガリーやソ連の情報機関と情報協力をしつつ、両国に浸透していったそうですので、その手口は相当巧妙であったといえます。
 私がこの講演を聞いて再認識したのは、第二次大戦開戦経緯から大戦中の歴史記述が、英米の情報研究の影響を色濃く受けているということです。もちろんこれは英米における情報史研究の成果の顕れなのですが、多くの歴史書は、「アメリカの暗号解読がミッドウェイの勝利を導いた」、「イギリスの欺瞞作戦がノルマンディ上陸作戦を成功に導いた」といった連合国のインテリジェンスの威力を強調し、枢軸側のインテリジェンスに関してはまるでほとんど意味がなかったかのような無頓着ぶりです。この点については、私の隣にいらしたジョン・フェリス教授もご賛同のようでした。恐らく今回のイタリアの事例のように、日独ソ中のインテリジェンスに関して調査が進めば、第二次大戦をめぐる歴史の書き換えすら生じることになるかもしれません。やはりこの時代のインテリジェンスは今後も追求していくべき一大テーマであると感じました。

 そう考えると、今後、イタリアのインテリジェンスは「ヘタリア」よりも「ガンスリンガー・ガール」のイメージで捉えないといけませんね(笑)

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# by chatnoir009 | 2009-06-01 20:36 | インテリジェンス

Japan-UK Conference

 先日、キングスカレッジで “Japan-UK Conference: Japan-UK 150 initiative” という会議がありましたので参加してきました。これまでの日英関係の会議というとどうしても外交関係や文化交流という分野が多かったのですが、 この会議はキングスカレッジ主催ということもあり、日英海軍関係史という何とも濃い内容のものでありました。個人的にはこういうテーマの方が潔くて好感が持てます。とはいえイギリスでの海軍史は歴史研究の分野としてはメジャーな方ですし、最近は日本でも『ロイヤル・ネイビーとパクス・ブリタニカ』といった研究書なども出ていますので、それなりに脚光を浴びつつある分野ではないかと思います。
 実は半年ほど前に本会議の人選についてアドヴァイスを求められたことがあったのですが、意外と日英関係を軍事面から語れる研究者がいないことに気が付きました。その時、サルフォードのダグラス・フォード博士とカルガリーのジョン・フェリス教授を推薦しておきましたが、若干インテリジェンス分野に傾倒してしまったきらいもあります。今回の会議ではこのお二方に加え、日英から元実務家や研究者を招いての会議となりました。
 会議は戦間期の歴史的な日英関係の議論から、冷戦期、さらには21世紀を見据えた時間的スパンの長いものとなりました。私のように普段歴史を研究している者にとっては、やはり歴史的な議論が面白いのですが、ただ専門分野というのはどうしてもどこかで読んだり聞いた内容が多くなってしまうのも事実です。その反面、実務家の方々のお話はある意味新鮮で、勉強になることも多いです。例えば今でも日英の海軍士官にとって米海軍というのは共通の難敵であるようで、交渉事などでどこまで米軍の要求を呑み、こちらの言い分を聞いてもらうか、といった苦労を両海軍ともに経験してきたそうです。会議の全体的な論調としては、日英同盟はお互いの潜在敵国が途中からソ連・ドイツという陸軍国になったために、両海軍国が手を結び続けることには限界があったということでした。ところが冷戦後の海軍力に求められているのは、パワー・プロジェクション能力と対潜能力であるので、パワー・プロジェクションを持つ英海軍、対潜能力の高い海上自衛隊の間には相互補完が成り立つのではないのか、といった議論であったように記憶しています(もしかしたら間違っているかもしれませんが…)。
 しかし本当に聞きたいことというのはやはり、コーヒーブレイクやランチタイムの時に、スピーカーを掴まえて色々と聞くしかありません。個人的にはフェリス教授から最近発掘された資料について興味深い話を伺うことができました。また日本からも多くのスピーカーが参加されていましたので、久しぶりにお会いすることができた玉川大学の等松先生を始めとする研究者、元自衛官の方々とも楽しく歓談することができました。

 話は変わりますが、帰りの電車の中で、MI5がバンクラディシュ系英国籍の男性を、バングラディシュの情報機関を使って拷問していたという新聞記事を読みました。男性は2005年7月のロンドン同時多発テロに関わったと見られており、自白を強要されたようです。現在、この男性は英国政府を相手に訴えを起こしているそうですが、同様の事案は2008年4月にもパキスタンの情報機関が関与して生じています。MI5のスタッフも相当あせりを感じていたのでしょうかね。
# by chatnoir009 | 2009-05-29 19:29 | その他

RAF Museum

 久しぶりにロンドン郊外にあるRAF Museum(英空軍博物館)に行ってきました。同博物館はロンドンの中心からNorthern Lineで40分ほどのColindaleというところにあります。ここにはキングス・カレッジの学生の頃から数えると、通算5,6回は訪れたと思います。当時は第二次大戦中の戦略爆撃をエッセーのテーマにしていたこともあり、またちょっとしたマニアでもありましたので何度も通ったものですが、やはり論文を書くにあたって、現物や現場を知っているのと知らないでは差が出てくると思います。当時は戦略爆撃の中心となったランカスターやB-17爆撃機を見て、その大きさに圧倒されたものでした。さすがにあんな巨大な爆撃機が編隊を組んで都市の上空に表れたら、その心理的な恐怖心は大変なものになります。これに対してルフトヴァッフェは、なるべくこういった爆撃機を市民の見ている前で迎撃し、その心理的恐怖心を和らげ、士気を高めようとしたらしいです。ちなみにイギリスにはまだ現役のランカスターが存在しており、記念式典などには今でも飛行しています。2002年にエリザベス女王の母后が崩御された折には、やはりランカスター爆撃機がスピットファイアー戦闘機を護衛に従えてロンドン上空を飛行しました。
 私は同博物館に新館が設置されて以降、訪れたことがありませんでしたので、5年ぶりぐらいに同館を訪問しました。何といっても新館の目玉は、世界中でもここにしか保存されていない、日本陸軍の五式戦闘機であります。本機は太平洋戦争末期に投入された実用性重視の機体でして、私の中では「四式戦=ティーガーI(性能は高いが信頼性に欠ける)、五式戦=パンター(性能よりも実用性)」といった感じで勝手に整理されています。一緒にいった友人(戦闘機については全く知らない)から、「五式戦は凄かったのか」、と聞かれましたので、即興でガンダムになぞらえて、(隣に展示されていた)P-51マスタングをガンダムとするなら、五式戦がゲルググで、(さらにその隣にあった)メッサーシュミットMe262がビグザムぐらいのものだろう、と説明してみましたが、これが的を射ているのかよくわかりません。
 いずれにしても同博物館のレストアと保存は素晴らしく、五式戦も当時の面影を髣髴とさせる美しい仕上がりとなっていました。これに比べると私が小学生の頃に一度見た、京都嵐山博物館の四式戦「疾風」が不憫でなりません。小学生の私にとって日本軍の戦闘機は何でもゼロ戦だったので、当時は特に何とも思わなかったのですが、後に聞くところによると、疾風は野ざらしにされた上にパーツの盗難に遭ったため、当初は飛べるほどの状態だったのが、すっかり駄目になってしまったそうです。そう考えると疾風も歴史的資料として同館のような設備の整った施設で保存、展示してほしかったと悔やまれますが、日本の軍事博物館の貧弱さを考えますと、思い切ってこのRAF Museumを始めとする欧米の軍事博物館できちんと管理してもらった方が良かったのかもしれません(呉の大和ミュージアムはかなり欧米のそれに近かったような印象を受けましたが)。
 基本的に日本の軍事博物館は戦争の悲惨さを訴え、「反戦」を学ぶ場となっていますが(もちろんこれは重要なことです)、こちらの軍事博物館は戦争を美化するわけでもなく、戦争や軍隊とは何かを客観的に学ぶ場となっているようです。多くの子供たちが連日のようにRAF Museumを訪れ、軍用機について熱心に学んでいるのを目の当たりにすると、色々と考えさせられます。イギリスには帝国戦争博物館を始めとする軍事博物館が豊富に揃っており、次世代の戦史家が次々と育つ土壌があるわけです。英公文書館にしても連日のように小学生の社会見学があり、小学生の頃から歴史資料に接しているわけですから、歴史家が強くなるわけです。次は久々にボービントン戦車博物館でしょうか。

五式戦
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Me262
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P-51
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# by chatnoir009 | 2009-05-18 07:51 | その他