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「ミストラル」の行方は。。。

 とうとうロシアがクリミアの編入に舵を切り始めました。先月のウクライナでの政変からあっという間の出来事でしたが、欧米の対応は後手に回っています。欧米のリーダーが及び腰なのは感覚として伝わってきますが、要所要所で「(欧米との対立を覚悟してまで)ロシアはウクライナに介入しないだろう」、「ロシアはクリミアに派兵しないだろう」、「ロシアはクリミアを編入しないだろう」と楽観的な見方が幅を利かせ、その都度、ロシアの後手に回っている印象です。これで思い起こされるのがキューバ危機でして、当時のCIAでは「ソ連がアメリカとの核戦争の危険を冒してまでキューバにミサイルを持ち込まないだろう」という見方が広がっていました。そのため、ソ連がミサイルを運搬しているという情報が入ってきても、それに対する感度の鈍さは相当なものでした。
 今回も各国のインテリジェンス組織が、きちんとした情勢判断を挙げているのか気になるところです。確かにロシアの動きが早すぎて対応できていない可能性もありますが、インテリジェンスの情勢判断に問題はなかったのか、もしくは政治指導者が聞きたくない情報を受け入れなかったのか、後で検証する必要があるかと思います。

 ところでウクライナ関連で気になっているのは、フランスが強襲揚陸艦「ミストラル」2隻をロシアに売却するかどうかです。もし欧米が本腰を入れて対露制裁に踏み出すのであれば、このような兵器をこのタイミングでロシアに譲り渡すような行為は論外なのですが、報道によりますと、ロシアは既に2隻分の代金、11億ユーロの内、7億ユーロを支払い済みとのことで、もしこの時点でフランスが手を引けば莫大な違約金が発生するそうです。ですのでフランスがこの問題に対してどのような対応を取るかでフランスの本気度が見極められそうです。
 しかしこの問題は日本にとって対岸の火事では済みません。元々、2隻の内、1隻は極東のウラジオストクに配備されることになっているからです。この「ミストラル」のウラジオ配備は、北方領土の防衛を見込んだものです。「ミストラル」は一見ヘリ空母のようですが、固定翼機以外は大抵何でも運べますので、兵力のプロジェクションや上陸作戦、離島奪回などに利用できるマルチユースな船ともいえます。
 離島防衛の基本は、島に守備部隊を置いて取られなくすることが第一です。イギリスが本土から13000kmも離れたフォークランド諸島に、最新のユーロファイター1個小隊を配備しているのも、1982年のフォークランド紛争で諸島奪回がいかに大変かを思い知ったからです。しかしロシアの場合、財政難から北方領土に守備隊を配備するのが苦しくなってきたので、もし取られたら「ミストラル」を投入して奪回することを検討しています。今でもロシア側は日本が北方領土に武力侵攻してくることを大真面目に想定しているのです。つまり、ロシアはフランス製の高価な「ミストラル」を投入してまで、北方領土の防衛を計画しているわけですから、とても領土返還交渉を進める気などないとも言えます。
 ですので日本政府としては対露制裁に躊躇せず、またフランス政府に対して「ミストラル」を売らないように働きかけないといけないのですが、まだここにはジレンマが存在します。もし2隻の引き取り手がいなくなったら、次にどこが手を挙げるかを考えておかないといけないからです。これが中国に渡るようであれば、余計に厄介な話になりますし、現実的ではないですが、日本が引き取っても中韓の反発を引き起こすことになるでしょう。個人的にはオーストラリアあたりが買い取ってくれるのがベストだと思うのですが。。。

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               強襲揚陸艦「ミストラル」
by chatnoir009 | 2014-03-19 22:23 | 国際情勢