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ホワイトホール61番地 ~ インテリジェンスを学ぶ

「めちょっく」or「キラやば~☆」?

日本版NSCと防衛装備移転3原則

 これまでの武器輸出3原則に代わる、「防衛装備移転3原則」の原案が与党に提出されたようです。ここでは内容には立ち入りませんが、そのプロセスがなかなか興味深いかと。本原則は、本年度新設されました国家安全保障会議(NSC)で議論されたようです。NSCとは首相、官房長官、外相、防衛相の4大臣会合を中心に運営される、外交・安全保障戦略の要であり、内閣官房に設置された事務方の国家安全保障局(NSS)によって支えられてます。
 武器輸出3原則は元々、経済産業省の所管ですので、経済マターと捉えられていたはずですが、むしろ安全保障上の問題ではないかということで、NSCで検討されたようです。これはまぁ当然のことだとは思うのですが、ポイントは経産省がこの問題をNSC・NSSに委託したというところでしょうか。
 普通、役所は自分の案件を手放したがりません。さらにNSSは外務、防衛の縄張りですので、経産省がそこに話を持って行くというのはちょっとした出来事です。この過程で考えられるのは、①武器輸出の話は安全保障上の問題なので、NSCが経産省から案件を譲ってもらった、②安全保障絡みの話となると経産省では扱いづらいのでNSCに投げた、といったあたりでしょうか。①のケースであれば、NSCは外交・安全保障に関わる事項であれば他省庁の事案でも引っ張って来られる権限があるという解釈ですし、②のケースであれば、外交・安全保障に関わる事案であれば、各省庁はNSCに投げることができる、といった解釈になるのでしょう。
 イギリスのNSCなんかですと基本は②の解釈です。個別の省庁が複数の省庁に関わる案件を扱う場合、例えば、国防省が武器輸出について検討する必要がある場合、国防省は外務連邦省や貿易産業省、財務省などと個別に折衝を進めないといけなくなるため、時間と労力がかかります。そうなりますと国防省としては案件をNSCに投げることで、NSCで各省庁の担当者と共同で検討するができます。またNSCでは首相のお墨付きももらえるため、一気に話を進めやすくなるわけです。要は縦割り行政ではなく、首相も交えて省庁横断的に仕事をやっていきましょうという話です。
 日本のケースも個人的には恐らく②ではないかと推察していますが、そうなりますと今後は、エネルギー問題だろうが海洋問題だろうが、外交・安全保障問題と被りそうになると、何でもNSCに付託してしまえ、となりそうですので、そうなると今度はNSCの側から何でこんなものまで引き受けなきゃならんのだ、といった展開で揉めそうです。

 もう一点、注目したいのは、NSCで決定されたことが、正式に政府の決定事項になるかどうかです。憲法第65条によりますと、行政権は内閣にある、つまり最終的な決定権は閣議にあるとされています。そのためNSCで4大臣+αが議論して決めたとしても、それは正式な決定とはなりません。つまりその後、閣議に諮らないといけないわけです。
 アメリカのNSCであれば決定権は大統領にありますし、イギリスのNSCでも首相と一定数以上の閣僚がいればそれは正式な決定となります。日本の場合は、全閣僚で決定することが建前となっていますから、NSCで決定してしまうことはできないのですが、経済財政諮問会議のように、とりえあえず仮決定しておいて、あとで閣議に追認してもらうというやり方があります。ですので今後、NSCで決定された防衛装備移転3原則が与党内で承認され、閣議で追認されるという手続きを辿るのであれば、日本版NSCは一応の決定権を持つという解釈ができます。
 NSCがこのような権限を持てるかどうかで、各省庁のNSCを見る目も大きく変わってきます。もしNSCで決定してもらえることが明らかになれば、各省庁は人材や案件をどんどんNSC事務局に送り込み、日本版NSCは機能するようになるでしょう。しかし決定できないNSCであれば、各省庁は非協力的になります。NSCの現状を見ますと、各省庁からエース級の人材が登用されていますので、当面の間は上手くいくのではないかと楽観しています。



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by chatnoir009 | 2014-03-15 16:48 | その他 | Trackback | Comments(0)
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