国防権限法
2012年 12月 11日
先週、米国上院で可決されました国防権限法(National Defense Authorization Act)が、米国の尖閣防衛義務を明記したと話題になっています。確かに米国がその法律の中で他国の領土争いに具体的に言及するのは異例なことですが、それを過度に強調するのはやや浅薄な気がします。
国防権限法の「第1246条尖閣諸島情勢に対する上院の意見」によりますと、第3項で「米国は、尖閣諸島の領有権に関しては立場を明確にはしないが、尖閣諸島が日本の施政下にあることは認めている」とし、また同じく第7項では「米国は『締約国は、日本の施政の下にある領域における、日米いずれか一方に対する武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動する』という日米安保条約第5条における日本政府に対する責務を再確認する」とありますので、これらを無理矢理まとめると、「米国は尖閣における日本の施政を認め、その施政圏が侵された場合、米国は日米安保に従って対処する」、というような解釈になるのでしょう。
ただこの解釈はやや牽強付会です。まずこの「上院の意見」は、ウェッブ上院議員による「修正条項」と言われるものです。これは法制化するには困難が予想されるので、「上院としてはこう思う」といった「意見」を貼り付けたものです。さらにこの「意見」を客観的に読むと、これは従来の米国の主張通り日本の尖閣諸島に対する施政権のみを認めており、領有権に関しては中立の立場のようです。すなわち領有権は日中間の平和的な交渉によって決めるべきであるという考え方を堅持していますので、これが特段日本にとって有利なものとは言えません。
本意見で再確認されている日米安保条約第5条に関しては、NATO条約のように条約締結国の参戦義務を謳っているものではなく、非常時であっても米国の「憲法上の規定」、すなわち米議会の判断によって参戦するかどうか決定されるか、もしくは在日米軍が攻撃されたような場合であれば米軍は自衛のための戦闘行為を行えるという以上の解釈にはなりません。そのため人民解放軍が尖閣に上陸しただけでは米軍は無条件で参戦する義務はありませんので、やはりまずは自衛隊による防衛行動が必要となってきます。やはり日本としてはその場合のことは考えておかなくてはなりません。
話は変わりますが、同じ国防制限法の議論で、上院が国防情報部(DIA)の海外ヒューミント網構築計画を拒否したというようなニュースも伝わっております。国防省は1988年の国防省令によってDIAの海外での秘密活動を禁止してきました。ところが9・11でテロとの戦いが始まって以降、対外情報はCIA、軍事情報はDIAという区別は取り払らわれ、国際テロに対してすべての資源を投入するという方針から、海外でもDIAが活動できるようになったようです。
国防省は今年4月に人員1600人と推定されています国防秘密局(DCS)を設置し、将来的に1000名もの対外ヒューミント網を構築する計画だと報道されていましたので、これは同じく対外ヒューミントを扱うCIAにとってライバルとなるはずだったのですが、このような国防省の思惑は上院でストップがかけられたようです。その理由としては、議会のペンタゴンに対する不信や、スパイを育成する教育や具体的なキャリアパスについて十分な説明がなされていないことなどが報道されています。いずれにしましても当面は、対外ヒューミント拡充を図る国防省と議会、そしてCIAの間で鍔迫り合いが生じるのだろうと思います。
ただ視点を変えると、米国の議会によるインテリジェンスへの統制はきちんと機能しているのだともいえます。
国防権限法の「第1246条尖閣諸島情勢に対する上院の意見」によりますと、第3項で「米国は、尖閣諸島の領有権に関しては立場を明確にはしないが、尖閣諸島が日本の施政下にあることは認めている」とし、また同じく第7項では「米国は『締約国は、日本の施政の下にある領域における、日米いずれか一方に対する武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動する』という日米安保条約第5条における日本政府に対する責務を再確認する」とありますので、これらを無理矢理まとめると、「米国は尖閣における日本の施政を認め、その施政圏が侵された場合、米国は日米安保に従って対処する」、というような解釈になるのでしょう。
ただこの解釈はやや牽強付会です。まずこの「上院の意見」は、ウェッブ上院議員による「修正条項」と言われるものです。これは法制化するには困難が予想されるので、「上院としてはこう思う」といった「意見」を貼り付けたものです。さらにこの「意見」を客観的に読むと、これは従来の米国の主張通り日本の尖閣諸島に対する施政権のみを認めており、領有権に関しては中立の立場のようです。すなわち領有権は日中間の平和的な交渉によって決めるべきであるという考え方を堅持していますので、これが特段日本にとって有利なものとは言えません。
本意見で再確認されている日米安保条約第5条に関しては、NATO条約のように条約締結国の参戦義務を謳っているものではなく、非常時であっても米国の「憲法上の規定」、すなわち米議会の判断によって参戦するかどうか決定されるか、もしくは在日米軍が攻撃されたような場合であれば米軍は自衛のための戦闘行為を行えるという以上の解釈にはなりません。そのため人民解放軍が尖閣に上陸しただけでは米軍は無条件で参戦する義務はありませんので、やはりまずは自衛隊による防衛行動が必要となってきます。やはり日本としてはその場合のことは考えておかなくてはなりません。
話は変わりますが、同じ国防制限法の議論で、上院が国防情報部(DIA)の海外ヒューミント網構築計画を拒否したというようなニュースも伝わっております。国防省は1988年の国防省令によってDIAの海外での秘密活動を禁止してきました。ところが9・11でテロとの戦いが始まって以降、対外情報はCIA、軍事情報はDIAという区別は取り払らわれ、国際テロに対してすべての資源を投入するという方針から、海外でもDIAが活動できるようになったようです。
国防省は今年4月に人員1600人と推定されています国防秘密局(DCS)を設置し、将来的に1000名もの対外ヒューミント網を構築する計画だと報道されていましたので、これは同じく対外ヒューミントを扱うCIAにとってライバルとなるはずだったのですが、このような国防省の思惑は上院でストップがかけられたようです。その理由としては、議会のペンタゴンに対する不信や、スパイを育成する教育や具体的なキャリアパスについて十分な説明がなされていないことなどが報道されています。いずれにしましても当面は、対外ヒューミント拡充を図る国防省と議会、そしてCIAの間で鍔迫り合いが生じるのだろうと思います。
ただ視点を変えると、米国の議会によるインテリジェンスへの統制はきちんと機能しているのだともいえます。
by chatnoir009
| 2012-12-11 22:34
| インテリジェンス

