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「魔法は探し求めている時が一番楽しい」


by chatnoir009
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6のリクルート

 先日、イギリス大使館のパーティーに参加してきました所、来日中の元6の長官、“C”やその他、インテリジェントな人々にお目にかかることができました(日本人で気づかれた方はそういないでしょう)。その折、ふと6の人事採用の話になりました。“C”は6の組織改革や運用にも大変熱意をお持ちだったようで、その改革の目玉の一つが2006年に導入された「007」の公募でした。それまで6のリクルートは、情報機関にパイプを持つオックスブリッジあたりの教授に対して優秀な学生を紹介してもらうというものでした。教授は学生に対して「君は海外で活躍する仕事に興味はないかい?」と持ちかけるのが普通で、まぁこう言われると学生の方も大抵はピンとくるそうです。私がイギリスに留学していた頃には、5の職員の方が大学に来て「5の日常業務とは」といった日本風の官公庁説明会を行い、かなり手広く学生を募集するようになっていました。
 5も6もキム・フィルビーらソ連のスパイに浸透されて以降、採用は内々だけでやってきたのですが、あまりに同じようなバックグラウンドを持つエリートを集めすぎたため、組織全体として考え方が同質化してしまったわけであります。その結果、2003年のイラクの大量破壊兵器問題に際して、6の総意としては「イラクが大量破壊兵器を秘密裏に開発して保有している」というものに凝り固まってしまった苦い経験があります。
 その後6は組織改革を求められ、より社会から広く優秀な人材を集めるという名目の下で、公募を始めました。その条件はウェブサイトで公開されていますが、父母どちらかが英国人であることや、21歳以上で過去10年間に5年以上イギリスに住んでいた英国民であること、といったものであります。正直、この公募開始を知った時、半信半疑でした。そもそも6は1994年に初めて英国政府が公式に認めたばかりの組織であったため、そのような秘密の組織が公募に踏み切れば、外国のスパイ要員が一斉に手を上げることは目に見えています。私なんぞ公募は外国スパイをチェックするリトマス試験紙ではないかとも疑っていたのですが、“C”によりますとどうもそうではなく、この公募のシステムはきちんと機能しているとのことでした。そもそも6は一人の人材を採用するために約6か月の時間をかけ、何度も面接を繰り返し、発言に矛盾がないか、思想信条はどのようなものかをチェックするそうですし、その間に本人や家族のバックグラウンドも調査するそうなので、スパイが入り込んでくる可能性はまずないだろうとのことでした。
 よく6はエリートを集めているから優秀だ、と言われますが、やはり仕事に対する順応度もありますので、オックスブリッジ卒というだけでは6の仕事は務まりません。採用する側も相当時間をかけて人物を見極めようとしていることがよくわかります。これは何も6に限ったことではなく、イギリスの他の官庁でも恐らくそうでしょうし、イギリスの大学院の面接などでも応募者を見極めることにかなりの労力と時間をかけます。日本の官庁の場合、国内系だろうが国外系だろうが人事院のペーパー試験と数度の官庁面接で決めてしまっていますが、外交やインテリジェンスなど特殊な分野の場合、もう少し違う採用方法もあるのかな、とも思いました。
by chatnoir009 | 2012-10-25 22:44 | インテリジェンス