頭の体操
2012年 09月 20日
仕事柄、霞ヶ関の省庁との意見交換の機会も多いのですが、尖閣や竹島問題に関してはどうも楽観的ともいえるような雰囲気を感じます。いわゆる「時間が解決してくれる」や「向こうはこれ以上は強く出てこないだろう」というものでありますが、個人的にはもう少し想像力を逞しく考えた方が…とも思います(現場では水面下でぎりぎりの折衝が続けられているものと期待していますが)。欧米諸国から見た場合、尖閣問題はフォークランドで再び戦争が起こるよりもリスキーですし、イスラエル・イラン間で戦争が起こるぐらいの危険度で捉えられているのではないでしょうか。
そのため頭の体操として、人民解放軍が尖閣諸島に上陸してきた場合のことを、1982年のフォークランド戦争を参考にしながら考えてみます。両者とも諸島奪回という共通点がありますので。
兎にも角にもまずは外交ですが、その際、有事の際の覚悟を見せておかないとあっという間に足元を見られてしまいます。イギリス政府は1977年にアルゼンチン兵がフォークランド近辺で挑発行為を行った際、更なる挑発にエスカレートすることを抑止するため、フリゲート艦隊と原子力潜水艦を現地に派遣しています。すなわちこれ以上の挑発行為は戦闘に発展することを警告したわけです。この抑止策は上手くいったのですが、その後のサッチャー政権はフォークランド問題に全く無関心で、アルゼンチンが再開した挑発行為をスルーしてしまいます。その結果、アルゼンチンのフォークランド侵攻を許してしまったわけです。ですから我が国としても、このようなイギリスの抑止行為に学ぶところはあるでしょう。
次に人民解放軍の上陸を許してしまった場合ですが、これはとにかく相手に撃たせる必要があります。日本人の感覚としては、自分たちの領土に軍隊が侵攻してきたんだから黙っていても国際社会は日本を支持してくれる、と思いたいのですが、世の中そんなに甘くありません。フォークランドの場合、フォークランドに駐在していた数十名の守備隊は、小銃のみで徹底抗戦を図ります。合理的に考えれば戦闘の帰趨は圧倒的にアルゼンチン側に有利ですので、無駄な犠牲を出す前に降伏、となりそうですが、これも甘いです。交戦の姿勢を見せれば当然アルゼンチン兵は攻撃してきます。この「攻撃してくる」行為こそが、国連など国際社会での支持を得るためには重要になってきます。フォークランドのイギリス守備隊はそこをよく理解していましたので、自軍に損害が出ない程度で抗戦を図り、アルゼンチン側の侵略行為を強調したわけです。尖閣の場合は無人島ですので、チャーターした無人の船でも浮かべて中国側に攻撃でもしてもらえれば効果抜群です(もちろん動画でリアルタイム配信です)。
並行して国連とアメリカの支持を得る必要性があります。アメリカに関しては日米同盟があるから、とこれも楽観してはいけません。イギリスであってもアメリカの支持を取り付けるためかなり念入りに根回ししています。当時、アメリカはアルゼンチンとも友好関係を築いておりましたので、米国務長官のヘイグはアルゼンチン側の主張を鵜呑みにし、それをイギリス側に押しつけようとするわけです。イギリスのピム外相はすっかり説得されてしまうのですが、これに徹底して抵抗したのがサッチャー首相でした。当時、国防大臣だったサー・ジョン・ノットから伺った話ですが、ノット国防大臣もアメリカとの関係には苦慮したので、サッチャー首相とレーガン大統領の親密な関係がなければかなり危うかった、とのことでした。
国連の方は、英国連大使アンソニー・パーソンズが方々に手を回して安保理決議502号を取り付けることに成功します。イギリスは常任理事国ではありますが、当時のデ=クエヤル事務総長はアルゼンチンに同情的でしたので、こちらも簡単にはいきませんでした。我が国の場合、常任理事国でもなく、また今の事務総長もアレですので、毎年莫大な上納金を納めているとはいえ、国連は日本にとってアウェーと考えるぐらいの方が良いでしょう。このような場で対中非難決議を通すためには、かなりの外交的力量が必要になってきます。そうなると最初に中国側に撃たせておくという行為が、我が方の正当性を訴えるためには重要になってくるわけです。
仮に国連とアメリカの支持を取り付けることができたらかなり有利になります。ここからイギリスの手順を踏まえれば、まず諸島の海域を封鎖し、段階的に領空も全面封鎖に移行し、ここに侵入した場合は攻撃を行う旨、宣言することになります。封鎖が完了し、制空海権を確保すれば上陸作戦を実行し、島を奪還することになります。
恐らくここまでが第一段階、日本が最低限自力でやらないといけないことです。日米同盟があるとはいえ、アメリカは尖閣諸島における日本の管轄権が確保されていない限り助けてくれないでしょう。しかし問題はここから先のステップです。さらなる想像力が必要な領域ですが、長くなってきましたのでここで一旦筆を置きます。
そのため頭の体操として、人民解放軍が尖閣諸島に上陸してきた場合のことを、1982年のフォークランド戦争を参考にしながら考えてみます。両者とも諸島奪回という共通点がありますので。
兎にも角にもまずは外交ですが、その際、有事の際の覚悟を見せておかないとあっという間に足元を見られてしまいます。イギリス政府は1977年にアルゼンチン兵がフォークランド近辺で挑発行為を行った際、更なる挑発にエスカレートすることを抑止するため、フリゲート艦隊と原子力潜水艦を現地に派遣しています。すなわちこれ以上の挑発行為は戦闘に発展することを警告したわけです。この抑止策は上手くいったのですが、その後のサッチャー政権はフォークランド問題に全く無関心で、アルゼンチンが再開した挑発行為をスルーしてしまいます。その結果、アルゼンチンのフォークランド侵攻を許してしまったわけです。ですから我が国としても、このようなイギリスの抑止行為に学ぶところはあるでしょう。
次に人民解放軍の上陸を許してしまった場合ですが、これはとにかく相手に撃たせる必要があります。日本人の感覚としては、自分たちの領土に軍隊が侵攻してきたんだから黙っていても国際社会は日本を支持してくれる、と思いたいのですが、世の中そんなに甘くありません。フォークランドの場合、フォークランドに駐在していた数十名の守備隊は、小銃のみで徹底抗戦を図ります。合理的に考えれば戦闘の帰趨は圧倒的にアルゼンチン側に有利ですので、無駄な犠牲を出す前に降伏、となりそうですが、これも甘いです。交戦の姿勢を見せれば当然アルゼンチン兵は攻撃してきます。この「攻撃してくる」行為こそが、国連など国際社会での支持を得るためには重要になってきます。フォークランドのイギリス守備隊はそこをよく理解していましたので、自軍に損害が出ない程度で抗戦を図り、アルゼンチン側の侵略行為を強調したわけです。尖閣の場合は無人島ですので、チャーターした無人の船でも浮かべて中国側に攻撃でもしてもらえれば効果抜群です(もちろん動画でリアルタイム配信です)。
並行して国連とアメリカの支持を得る必要性があります。アメリカに関しては日米同盟があるから、とこれも楽観してはいけません。イギリスであってもアメリカの支持を取り付けるためかなり念入りに根回ししています。当時、アメリカはアルゼンチンとも友好関係を築いておりましたので、米国務長官のヘイグはアルゼンチン側の主張を鵜呑みにし、それをイギリス側に押しつけようとするわけです。イギリスのピム外相はすっかり説得されてしまうのですが、これに徹底して抵抗したのがサッチャー首相でした。当時、国防大臣だったサー・ジョン・ノットから伺った話ですが、ノット国防大臣もアメリカとの関係には苦慮したので、サッチャー首相とレーガン大統領の親密な関係がなければかなり危うかった、とのことでした。
国連の方は、英国連大使アンソニー・パーソンズが方々に手を回して安保理決議502号を取り付けることに成功します。イギリスは常任理事国ではありますが、当時のデ=クエヤル事務総長はアルゼンチンに同情的でしたので、こちらも簡単にはいきませんでした。我が国の場合、常任理事国でもなく、また今の事務総長もアレですので、毎年莫大な上納金を納めているとはいえ、国連は日本にとってアウェーと考えるぐらいの方が良いでしょう。このような場で対中非難決議を通すためには、かなりの外交的力量が必要になってきます。そうなると最初に中国側に撃たせておくという行為が、我が方の正当性を訴えるためには重要になってくるわけです。
仮に国連とアメリカの支持を取り付けることができたらかなり有利になります。ここからイギリスの手順を踏まえれば、まず諸島の海域を封鎖し、段階的に領空も全面封鎖に移行し、ここに侵入した場合は攻撃を行う旨、宣言することになります。封鎖が完了し、制空海権を確保すれば上陸作戦を実行し、島を奪還することになります。
恐らくここまでが第一段階、日本が最低限自力でやらないといけないことです。日米同盟があるとはいえ、アメリカは尖閣諸島における日本の管轄権が確保されていない限り助けてくれないでしょう。しかし問題はここから先のステップです。さらなる想像力が必要な領域ですが、長くなってきましたのでここで一旦筆を置きます。
by chatnoir009
| 2012-09-20 23:46
| 国際情勢

