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「魔法は探し求めている時が一番楽しい」


by chatnoir009
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オリンピックとテロ

 昨日は、広島に原子爆弾が投下されて67年目の日でした。中央公論別冊『日本国の「失敗の本質」II』にも寄稿させていただきましたが、終戦までの決断があれ程混乱しなければ、原爆投下までに日本は降伏を選択できたのではないかと思う次第です。現実は米内海相がいみじくも語ったように、陸軍を説得するためには原爆投下とソ連参戦という「天佑」がなければ難しかったのかもしれませんが、少なくとも7月26日に連合国が発表したポツダム宣言を吟味する余地はあったのだと思います。

 ところで今年はミュンヘン事件40周年ということで、先日、イギリスのキャメロン首相が談話を発表しています。ミュンヘン事件は1972年9月5日、ミュンヘン・オリンピックの選手村にパレスチナの武装組織「黒い九月」が乱入し、イスラエル人選手とコーチ11名を殺害した事件です。イスラエル政府はこの報復として「神の怒り作戦」を発動、モサドと見られるチームが7年かけてテロの関係者の居場所を突き止め、テロに関わった11名を殺害しています。この事件はスピルバーグ監督の映画『ミュンヘン』でも有名ですが、モサドによる暗殺工作の過程ではテロリストと間違って殺されたり、爆発の巻き添えを食って亡くなった方も多数おり、イスラエル、パレスチナ双方に多くの死傷者を出すに至りました。
 今回のロンドン・オリンピックでもイギリスはテロ対策に相当神経質になっています。何より2005年7月に今回のロンドン・オリンピックが決まり、イギリス中が盛り上がっていた次の日、しかもスコットランドでサミットをやっている最中に7月7日のロンドン・テロが起きて、市民52名が犠牲になったわけですから、今回のオリンピックは関係者にとってテロの脅威を想起させるものでもあります。そのためオリンピックの開催のため、イギリス政府はイスラエルからわざわざ対テロの専門家を招き、16億ドル(約1200億円)もの資金を投じて徹底した警備体制を敷いているようです。しかしそれでも専門家は足りていないと指摘しており、結局イギリス軍から急遽17000名もの兵士が警備に割かれることになりました。
 イギリスのマスコミが過剰警備と批判した2008年の洞爺湖サミットでは、3日の会議で300億円もの警備費用がかかったと報じられています。サミットとは規模がかなり異なるにせよ、2週間強のオリンピックの警備費用が16億ドルというのも相当なものだと思います。例の如く時間のかかる空港での入国審査はさておき、ロンドン市内ではイスラム系住民を片っ端から拘束したり、航空機による自爆テロに備えて戦闘機や地対空ミサイルまで配備する様はいかがなものかと思いますが…。
 対テロ警備ではかなりの蓄積があり、街中のいたるところに監視カメラが備え付けられているはずのイギリスですらオリンピックの警備にこれ程の費用がかかるという事は、もし将来的に日本でやる場合は幾らぐらいかかるのでしょうか。ちなみに2008年の北京オリンピックでは60億ドル(推定)、2010年のバンクーバー・オリンピックでは10億ドルかかっており、警備費用はオリンピック運営費の10%に迫る勢いとなっています。平和の祭典もこのように厳重な警備の下に成り立っているのが現状なのです。
by chatnoir009 | 2012-08-07 22:52 | インテリジェンス