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「魔法は探し求めている時が一番楽しい」


by chatnoir009
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中国人スパイ?

 中国大使館の一等書記官が日本でスパイ行為を行っていたことが報道されています。報道に拠りますとこの外交官は軍のインテリジェンス機関である総参謀本部情報部所属のオフィサーとのことです。中国のインテリジェンス機関としては政府機関である国家安全部が有名ですが、その他にも党のインテリジェンス機関である中共中央対外連絡部や解放軍の総参謀本部情報部などがあります。今回問題を起こしたとされる総参謀本部情報部は長らく通信傍受などの技術情報に特化した組織でしたが、最近では海外での軍事技術情報収集も積極的に行っているようです(『インテリジェンスなき国家は滅ぶ』)。
 警視庁公安部はこの外交官をマークしていたようですが、スパイ防止法のない我が国においては、別件で出頭要請できるような証拠を挙げるしかなく、外国人登録証明書の不正使用とウィーン条約に定められている外交官による商業活動の禁止を理由にしたような印象です。しかし相手が外交官であれば警察では手が出し辛いので、もし報道通り外交官がクロであれば外務省が「ペルソナ・ノン・グラータ」を発動して国外退去を命じるべきではなかったのかとも思います(2002年には中国に赴任していた我が国の防衛駐在官がそのような扱いを受けています)。
 しかしこの外交官が日本でどのような活動を行っていたのか全く見えてきません。今のところ不正な口座を開設して蓄財を行ったとか、日本で人脈を構築していたというような話しか出てきませんので、公安部も核心のところまで調査することができなかったのかもしれません。となると今回の件は警察の中国大使館に対する警告・抑止と、世論に対する注意喚起の意味合いが強かったのかとも思えてきます。
 いずれにしましても今回の事案は我が国における各国スパイ活動のほんの氷山の一角でしょう。現状では国家機密や民間企業の持つ技術情報の流出などを防ぐ体制が未整備のままですので、やはり秘密漏洩事案に対する法律は必要なのだと思います。国家であれば当然自国内で外国のスパイが活動することを許容できませんので、スパイ防止法やそれを運用するカウンター・インテリジェンス組織などでそれを抑止しているわけですが、我が国ではその当然のことができないわけであります。
 各国の常識からすれば、スパイが悪いことをしたから取り締まる、のではなく、スパイの存在そのものが許容できないわけであります。一昨年話題となりましたロシアの美人スパイ事案にしても、彼女が何か情報を得たために逮捕されたわけではなく、彼女がスパイ活動に手を染めていると判断されたために逮捕されたのです。恐らく日本は国内のスパイを取り締まるシステムを持たない世界的にも稀有な存在でしょう。軍隊を持たないとされるコスタリカや永世中立国のスイスですら秘密を守るための制度を有しているわけですから。
by chatnoir009 | 2012-05-29 22:37 | インテリジェンス