人気ブログランキング | 話題のタグを見る

とある政府の秘密保全法案

 本日、政府が国の安全や外交などの機密情報を漏えいした場合の罰則強化を目的とした「秘密保全法案」(仮称)を来年の通常国会に提出する方針を固めたことで、アメリカの方やイギリスの方から「日本が秘密法作るんだって?」という問い合わせを受けております。これは恐らく現在民主党内で進められている秘密保護法制の事かと思います。これに関しては既に8月8日に秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議が「秘密保全のための法制の在り方について」報告書を政府に提出しており、これを読めば政府が進めている秘密保全保安の具体的な内容について概ね理解できます。
 この報告書は、国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持に関わり、特に秘匿を要する秘密を便宜的に「特別秘密」と呼ぶとしており、秘密保全に関しては新規立法とすること、罰則は5年もしくは10年、そして国務大臣等への法律の適用方針等が明記されています。この報告書が公表されると、幾つかの報道機関から「報道の自由を侵害するもの」として反対意見が出てきましたが、1985年のスパイ防止法案の時ほどは盛り上がらなかったようです。それだけ報道の側の理解も進んでいるのかもしれません。
 ただ秘密保全と報道の自由はやや別物でありまして、恐らく「特別秘密」とされるような秘密は現在でも表に出てくることもありませんので、あまり問題はないかと思います。報道の自由に関しては、我が国では戦後、憲法21条によって表現の自由が保障されています。また1969年の博多駅事件判決によって、報道の自由が憲法の保障の下にあることが確認されており、1978年の西山事件判決では取材方法が合法的なものである限り、取材の自由が認められています。これらの判例によって日本では報道の自由が確立されており、それはインテリジェンスのような分野に対しても適用されるものと言えるでしょう。
by chatnoir009 | 2011-10-08 00:11 | インテリジェンス