Stuxnet
2011年 06月 23日
先日、英国大使館でのイベントに参加してきましたが、立ち話の際、「スタックスネット」なるものが話題となりました。恥ずかしながら私には初耳で「ナニソレ、オイシイノ?」状態でした。これではサミットの際に旧ソ連の巡航ミサイル、SS-20を知らなかった某総理を笑うことはできません。
そこで早速調べてみたのですが、スタックスネットは昨年ドイツで検出されたウイルスの類のようですが、それが特徴的なのはWindowsによって制御されるシーメンス社の周波数変換器に作用することと、同ウイルスに感染したコンピューターの60%がイランに集中しているということでした。報道によりますと同ウイルスはイスラエルのディモナ研究所で開発されてばら撒かれ、イランのナタンツにある核濃縮用の遠心分離器の制御システムを暴走させ、遠心分離機に過剰な負荷を与えることでその20%を破壊することに成功したそうです。その結果、前モサド長官、メイル・ダガンとヒラリー・クリントン国務長官は、イランの核兵器開発が数年遅れることになりそうだと発表しています。
恐らくスタックスネットの登場は、これまでの安全保障の概念を新たなステージに移行させたのかもしれません。イスラエルは1981年のオペラ作戦によってイラクの原子炉を空爆し、2007年にも果樹園作戦によってシリアの核関連施設を空爆しています。イスラエルはイランの核開発施設に対しても数年前までは空爆する計画を立てていたようですが、イランの場合、航空機の航続距離の問題や、確実に施設を破壊するためのバンカーバスターが必要だったようですが、何よりアメリカが爆撃作戦に同意しなかったようです。
そしてその代案としてスタックスネットが開発され使用されたようなのですが、このウイルスは人的被害を出すことなく、爆撃と同じような効果を発揮したと言えます。モサドはイランの核開発が2012年頃に完了すると予測し、かなり神経質になっていたようなのですが、スタックスネットによってそれが2015年以降に延期させられたようなのです。ただしこの手のウイルス攻撃は、イラン側が防御態勢をきっちり整備すれば次からは難しくなりますし、根本的にイランの核開発の意思を放棄させることはできません。スタックスネットは当面の時間を稼いだだけですので、イスラエルはその間にどのような手を打つべきなのか考えないといけないでしょう。
またスタックスネットの開発にも紆余曲折があったようです。まずモサドはイランが使用しているP-1という遠心分離装置の実物を手に入れ、それにスタックスネットを使った実験をする必要がありましたし、ナタンツのシステムがWindowsやシーメンス社のものであることも調べないといけませんでした。そして相も変わらず、この核兵器開発に携わった科学者に対してもかなりの妨害工作を行っているようです。もともとP-1はパキスタンの核開発の父、A. Q. カーン博士が開発したもののようですので、恐らく北朝鮮も同じ装置を使用しているのではないかと推測されます。となると我が国もモサドやCIAの持っている機密情報が必要となります。
スタックスネットはイスラエルとアメリカの共同開発のようですが、イギリスやドイツの関与も取りざたされています。しかしルール無用のインテリジェンスの世界にあっては、「こちらがやる事は向こうもやる」と考えるのが常識でありますから、今度は防御の方が問題になってくるわけであります。そこで昨年あたりから米英で「プロアクティブ」なサイバー対処研究を行うということで、サイバー対策に莫大な予算が付くようになりました。「プロアクティブ」は防御に徹するのではなく、必要があればこちらから積極的に仕掛けてでもシステムを守るという、いわば「攻撃は最大の防御なり」を具現化したような話です。恐らくこれは「そっちが撃ったら撃ち返す」という核抑止理論の延長なのでしょうが、サイバーの場合抑止が成り立つかどうかは微妙なところでしょう。
ウサマ・ビン・ラディンの殺害でここ10年ほど続いた「テロとの戦い」も一段落付きつつあります。となると今後はサイバー空間での戦いが軍事やインテリジェンスの主な課題の一つになっていくのでしょう。我が国でもサイバー対策は行われていますが、やはり同盟国に頼っている面もあるかと思います。ただサイバー空間であれば、憲法上の規定に縛られないような気もしますので、我が国独自の「プロアクティブ」システムを構築しても良いのかもしれません。そう、ここはひとつランドが得意としたシステム分析を使い、「攻性防壁」の開発を!
そこで早速調べてみたのですが、スタックスネットは昨年ドイツで検出されたウイルスの類のようですが、それが特徴的なのはWindowsによって制御されるシーメンス社の周波数変換器に作用することと、同ウイルスに感染したコンピューターの60%がイランに集中しているということでした。報道によりますと同ウイルスはイスラエルのディモナ研究所で開発されてばら撒かれ、イランのナタンツにある核濃縮用の遠心分離器の制御システムを暴走させ、遠心分離機に過剰な負荷を与えることでその20%を破壊することに成功したそうです。その結果、前モサド長官、メイル・ダガンとヒラリー・クリントン国務長官は、イランの核兵器開発が数年遅れることになりそうだと発表しています。
恐らくスタックスネットの登場は、これまでの安全保障の概念を新たなステージに移行させたのかもしれません。イスラエルは1981年のオペラ作戦によってイラクの原子炉を空爆し、2007年にも果樹園作戦によってシリアの核関連施設を空爆しています。イスラエルはイランの核開発施設に対しても数年前までは空爆する計画を立てていたようですが、イランの場合、航空機の航続距離の問題や、確実に施設を破壊するためのバンカーバスターが必要だったようですが、何よりアメリカが爆撃作戦に同意しなかったようです。
そしてその代案としてスタックスネットが開発され使用されたようなのですが、このウイルスは人的被害を出すことなく、爆撃と同じような効果を発揮したと言えます。モサドはイランの核開発が2012年頃に完了すると予測し、かなり神経質になっていたようなのですが、スタックスネットによってそれが2015年以降に延期させられたようなのです。ただしこの手のウイルス攻撃は、イラン側が防御態勢をきっちり整備すれば次からは難しくなりますし、根本的にイランの核開発の意思を放棄させることはできません。スタックスネットは当面の時間を稼いだだけですので、イスラエルはその間にどのような手を打つべきなのか考えないといけないでしょう。
またスタックスネットの開発にも紆余曲折があったようです。まずモサドはイランが使用しているP-1という遠心分離装置の実物を手に入れ、それにスタックスネットを使った実験をする必要がありましたし、ナタンツのシステムがWindowsやシーメンス社のものであることも調べないといけませんでした。そして相も変わらず、この核兵器開発に携わった科学者に対してもかなりの妨害工作を行っているようです。もともとP-1はパキスタンの核開発の父、A. Q. カーン博士が開発したもののようですので、恐らく北朝鮮も同じ装置を使用しているのではないかと推測されます。となると我が国もモサドやCIAの持っている機密情報が必要となります。
スタックスネットはイスラエルとアメリカの共同開発のようですが、イギリスやドイツの関与も取りざたされています。しかしルール無用のインテリジェンスの世界にあっては、「こちらがやる事は向こうもやる」と考えるのが常識でありますから、今度は防御の方が問題になってくるわけであります。そこで昨年あたりから米英で「プロアクティブ」なサイバー対処研究を行うということで、サイバー対策に莫大な予算が付くようになりました。「プロアクティブ」は防御に徹するのではなく、必要があればこちらから積極的に仕掛けてでもシステムを守るという、いわば「攻撃は最大の防御なり」を具現化したような話です。恐らくこれは「そっちが撃ったら撃ち返す」という核抑止理論の延長なのでしょうが、サイバーの場合抑止が成り立つかどうかは微妙なところでしょう。
ウサマ・ビン・ラディンの殺害でここ10年ほど続いた「テロとの戦い」も一段落付きつつあります。となると今後はサイバー空間での戦いが軍事やインテリジェンスの主な課題の一つになっていくのでしょう。我が国でもサイバー対策は行われていますが、やはり同盟国に頼っている面もあるかと思います。ただサイバー空間であれば、憲法上の規定に縛られないような気もしますので、我が国独自の「プロアクティブ」システムを構築しても良いのかもしれません。そう、ここはひとつランドが得意としたシステム分析を使い、「攻性防壁」の開発を!
by chatnoir009
| 2011-06-23 22:20
| インテリジェンス

