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「魔法は探し求めている時が一番楽しい」


by chatnoir009
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Landscapes of Secrecy: The CIA in History, Fiction and Memory

 4月29日から3日間、イギリスのノッティンガム大学で、Landscapes of Secrecy: The CIA in History, Fiction and Memory と題した研究大会が行われていました。本大会はCIAに関する過去の学界の中で恐らく最大規模、3日間にわたってひたすらCIAを語りつくそうという趣旨で、世界中から研究者が集まって議論していたようです。本来であればCIAだとアメリカで研究大会を行うのが筋でしょうが、それがイギリスで開催されるというのは、イギリスにおけるインテリジェンス・ヒストリー研究の勢いというものが感じられます。研究大会の規模も、2年前アヴェリストウィスで開催された英国情報部の大会に匹敵するほどのものであったようです。
 本大会の案内は一応事前に頂いていたのですが、イギリス行きの都合が合わず断念していました。ところが最近、友人からのメールで同大会の音声データがウェブにアップされていることを知り、早速アクセスしてみました。日本の学界なんかですと大抵アップされるのは報告要旨のみであることが多いのですが、報告の内容を音声でそのまま載せていただけると大変助かります。音も大変クリアです。今まで一旦イギリスを離れてしまうと途端に浦島太郎のようになってしまうのが常でしたが、これもネットによるフラット化の恩恵のお蔭でしょうか。そのうち学会の様子などもライブ映像で流され、世界のどこからでも質疑応答できるようになる日もそう遠くないのでしょう。
 本大会のオーガナイザーで、スピーカーも務められたリチャード・オルドリッチ教授によると、「CIAは世界の情報機関の中で最も出版された研究書が多く、かつ論点が多くて興味深い研究対象だ」とおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思います。情報機関の研究をする際一番難しいのは資料公開の問題と、果たしてインテリジェンス活動が戦争や外交にどのような影響を与えたのかを考察するところであります。
 イギリスにおけるインテリジェンス・ヒストリーの研究文脈から言えば、「1970年代、MI6によるKGBエージェント寝返り工作は成功していたことが資料で明らかになった」という内容でも学問的にオッケーなのでしょうが、恐らく日本を含むその他の国々ですと、「それで?」となるのがオチです(インテリジェンス研究に関わらず、現在の細分化された学問はどこも似たようなところはあるでしょうが)。そこで6の秘密工作が政治家の政策決定や国際関係にどのような影響を与えたのか、という点が重要な論点になってくるのですが、いつもながら情報機関と政策サイドの連結点を資料で証明するのは至難の業です。しかしそれができなければ単なる陰謀論です。
 その点、CIAは資料が多く出回っており、またCIA自体が超大国の中枢部であるホワイトハウスに直結していますので、こういった点がわかり易いのではないかと思います。CIAはウェブサイトでの資料公開も行っていますし、日本にいながら研究対象とできる数少ないインテリジェンス組織ではないでしょうか。
by chatnoir009 | 2011-05-23 22:06 | インテリジェンス