本
2010年 09月 27日
ここのところインテリジェンスに関する新著が次々と発売されています。まずは三宅正樹『スターリンの対日情報工作』です。この著作は独露の一次史料に依拠しながらクリヴィツキーやゾルゲといったソ連のスパイ達の活動を再検討しています。恐らくこの著作の白眉は、最近共同通信が発見した旧ソ連の文書から戦前の日本政府内に「エコノミスト」と呼ばれたスパイの存在を突き止めたことだと思いますが、個人的には第3章の「ゾルゲと赤軍第四本部との関係」を興味深く読みました。簡単に言えば尾崎秀実らゾルゲに協力した日本人達は、「世界革命を実現するコミンテルンのため」国際レベルで活動していたつもりが、実は本人達も知らぬ間にゾルゲの赤軍第四本部という一組織に利用されていたという内容です。ソ連の現実主義者達が日本国内の理想主義者達を上手く鼓舞して操るという構図は、現代にも通ずるものがあって恐ろしい限りです。
先月本ブログでも取り上げた陸上自衛隊の「ムサシ機関」に関する回想も、平城弘通『日米秘密情報機関』として出版されました。朝日の記事以降、部内の関係者に同機関の存在について色々と聞いていたのですが、「そんなものは聞いたことがない」という回答しか得られませんでした。本書はかなり暴露的な内容のようです。例えばアメリカとの具体的な協力関係や当時の防衛長官の決済で同機関の機密費が使われていた等、この辺は本来であれば墓場に持っていくような話でしょう。
さらについ最近出版された中西輝政『情報亡国の危機』ですが、本書は多くの部分が書き下ろしとなっており、教授のこれまでのインテリジェンスに対する研究や考え方を一冊に纏めたものといえます。中西教授は今はなき『諸君!』誌上において「国家情報論のすすめ」と題した連載を書いておられ、一読者として早く一冊の本にならないものかと思っていたのですが、今回、新たな形で出版されたのは大変喜ばしいことです。本書では教授の得意とするイギリスの情報史研究についてかなりの稿が割かれていますので、読み応えがあります。
極めつけは去年から本ブログでも「そのうち出る」
と書いてきた英国秘密情報部(MI6)の公式史が遂に出版となったことでしょうか。私も周りから散々「一体いつ出るの?」とか「出る出る詐欺?」などと突っ込まれておりましたが、やっと出てくれて一安心であります。1990年代まで英国政府はMI6の存在すら公式に認めてきませんでしたし、今でもMI6に関する一次史料はほとんど公開されていませんので、本書の出版は大変意義のあることだと思います。ただしまだ現物を手にしていませんので内容に関するコメントはまた後日ということで。
ややこしいのはこの公式史に合わせたのか、ゴードン・トーマス『インテリジェンス闇の戦争』というMI6に関する翻訳本がつい最近出版されたことです。氏は以前に『憂国のスパイ-イスラエル諜報機関モサド』という本を出されているのですが、これはかなり雑な内容でした。個人的には最近調べているスエズ危機の辺りに興味があって本書を読んでみたのですが、この時代に限って言えばまたもや大雑把な味付けのようです。細部に拘らず、スパイ小説のような雰囲気を味わいたいというのであればお勧めなのですが。
先月本ブログでも取り上げた陸上自衛隊の「ムサシ機関」に関する回想も、平城弘通『日米秘密情報機関』として出版されました。朝日の記事以降、部内の関係者に同機関の存在について色々と聞いていたのですが、「そんなものは聞いたことがない」という回答しか得られませんでした。本書はかなり暴露的な内容のようです。例えばアメリカとの具体的な協力関係や当時の防衛長官の決済で同機関の機密費が使われていた等、この辺は本来であれば墓場に持っていくような話でしょう。さらについ最近出版された中西輝政『情報亡国の危機』ですが、本書は多くの部分が書き下ろしとなっており、教授のこれまでのインテリジェンスに対する研究や考え方を一冊に纏めたものといえます。中西教授は今はなき『諸君!』誌上において「国家情報論のすすめ」と題した連載を書いておられ、一読者として早く一冊の本にならないものかと思っていたのですが、今回、新たな形で出版されたのは大変喜ばしいことです。本書では教授の得意とするイギリスの情報史研究についてかなりの稿が割かれていますので、読み応えがあります。
極めつけは去年から本ブログでも「そのうち出る」
と書いてきた英国秘密情報部(MI6)の公式史が遂に出版となったことでしょうか。私も周りから散々「一体いつ出るの?」とか「出る出る詐欺?」などと突っ込まれておりましたが、やっと出てくれて一安心であります。1990年代まで英国政府はMI6の存在すら公式に認めてきませんでしたし、今でもMI6に関する一次史料はほとんど公開されていませんので、本書の出版は大変意義のあることだと思います。ただしまだ現物を手にしていませんので内容に関するコメントはまた後日ということで。
ややこしいのはこの公式史に合わせたのか、ゴードン・トーマス『インテリジェンス闇の戦争』というMI6に関する翻訳本がつい最近出版されたことです。氏は以前に『憂国のスパイ-イスラエル諜報機関モサド』という本を出されているのですが、これはかなり雑な内容でした。個人的には最近調べているスエズ危機の辺りに興味があって本書を読んでみたのですが、この時代に限って言えばまたもや大雑把な味付けのようです。細部に拘らず、スパイ小説のような雰囲気を味わいたいというのであればお勧めなのですが。
by chatnoir009
| 2010-09-27 21:21
| 書評

