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中台情報戦

 今月の『g2 (ジーツー)』という雑誌で、1970年代から90年代まで中国人民解放軍に浸透していた台湾軍事情報局の龐大為氏の単独インタビューが載っていました。彼の情報源であった元人民解放軍の劉連昆少将は情報漏洩の罪で1999年に処刑されているそうですが、そこに至る過程で台湾がどのような情報を得、それが対中政策にどのように活かされていたのかが生々しく証言されています。恐らく龐氏の得た情報が決定的だったのは、1996年3月の台湾海峡危機の際、中国が台湾に向けて配備したミサイルに弾頭が積まれていないという情報を掴んでいたことでしょう。この情報を知らされた当時の李登輝総統は「中国のミサイルは空っぽだ」と発言して台湾国民にパニックが生じるのを防いだそうですが、この発言は逆に中国側の情報漏洩に対する警戒感を引き上げ、劉少将の逮捕に繋がったそうです。この工作のため劉少将に渡された金額は150万ドルにもなるらしいですが、その額に見合う情報が引き出されていたようです。現状でこのインタビューがどこまで正確なものかはわかりませんが、それは後世の歴史家の研究に委ねるとして、この中台間の情報戦は大変興味深い話だと思います。劉氏によると、台湾は韓国、フィリピン、マレーシア、タイなどと情報ネットワークを有しているが、日本は対外情報機関がないためこの輪に入っていけないそうです。氏は「国際常識に照らせば、(日本は)普通の国とは言い難いかもしれない」と発言されていますが、我々はもう一度この意味をよく考えてみる必要があるのではないでしょうか。
 蛇足ですが劇場版「00」を観てきました。テレビ版の完成度に比べるとあれはちょっと…といった印象ですね。絵は良いのですが。
by chatnoir009 | 2010-09-23 12:43 | 国際情勢