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by chatnoir009
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DNI

 『国際政治』第158号に小林良樹氏の論文、「米国インテリジェンス・コミュニティの改編」が掲載されました。小林氏は知る人ぞ知る(?)プロフェッショナルでして、例えるなら「ゴルゴ13」に登場する土方警視正や「DTB」の霧原外事4課長に匹敵するでしょうか(最近なら『外事警察』の住本主任?)。私も過去に何度か氏のアドヴァイスをいただいたことがあります。氏はアメリカのインテリジェンスに詳しく、過去にはアメリカにおけるインテリジェンス教育に関する論稿も発表されています。
 さて、その小林氏が『国際政治』に投稿されたのは、近年の国家情報長官(DNI)を中心としたアメリカのインテリジェンス・コミュニティー改革についてでして、9・11以降、CIA/DCI に代わって設置されたDNIがどの程度機能しているのかについて、制度、人事、予算、大統領との関係から分析されたものです。DNIへの評価についてはアメリカでも多くの論考がありますが、本稿は、①事実の列挙だけではなく、ベッツやシムズといったインテリジェンスの理論を踏まえた上で分析的な記述を試みていること、②注にあるように、ワシントンで実施した実務家や研究者とのインタビューを情報源として使用していること、といった点で他の評論とは一線を画すものとなっています。しかし個人的には、『国際政治』というアカデミズムの堅い雑誌が、「米国のインテリジェンス改革」というテーマを許可したという点に一番驚いております。これまで同誌に本格的なインテリジェンスの論稿が掲載されたことはほとんどありませんから、これはエポック・メイキングな出来事、もしくは時代が変わりつつあるということなのでしょうか。
 小林氏の分析によると、今のところDNIは機能しているが、インテリジェンス・コミュニティーの過半数を占める軍事系インテリジェンスを抑えていないこと、また大統領とDNIの関係が法的に制度化されていないことでややもすれば不安定なものになる可能性を残している、ということでした。しかし後者については6、モサド、FSB(さらには我が国も)などでも最高権力者との関係は特に規定されているわけでもなく、最終的には政治家と情報長官のパーソナリティーや両者間の個人的な紐帯に規定されているわけですから、この点はベッツも言うように柔軟に運営していくしかないのではないかと思います。やはりこのような問題意識は、警察官僚である筆者独特のものかもしれません。
by chatnoir009 | 2010-01-07 23:13 | インテリジェンス