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Secret Intelligence and the Armed Forces Conference

 RUSIでインテリジェンスのイベント、Secret Intelligence and the Armed Forces Conference があったので参加してきました。本イベントは、5や6といった情報機関と軍組織をどのように連携させていくかといったことが主題でして、恐らくこれは今イギリス政府の外交的懸案の一つであるアフガン問題をどのように収束させるのか、といった問題意識が根底にあるのではないかと思います。それでもそこはイギリス人らしいと言いますか、最初は延々、5、6、JIC、軍事情報部の歴史的変遷についてのセッションが開かれ、集まった100名強の実務家、研究者が熱心な質問を浴びせかけていました。
 午後はカウンター・インサージェンシーにおけるインテリジェンスの役割が検討され、インテリジェンスによってイラクやアフガンにおける英軍部隊の損害を最小限に留める方策について議論が行なわれました。これからの現場では5や6の縄張り云々という問題ではなく、生物学で言うところの「ニッチ環境」における効率的な棲み分けによる情報活動が必須だという話になりました。英語で聞いているとかなり難解だったのですが、昔読んだ今西錦司氏の棲み分け理論を漠然と思い出しながら、「同じ戦場でも5、6、DISはそれぞれ得意分野に特化した情報活動を行ない、それを上手く一元化して司令官に伝達することが重要」といった意味合いの話ではなかったかと理解しました。ただ一元化の際、問題となるのはそれぞれの組織のカルチャーの違いを克服しなければならない、ということでした。
 さらに初代内閣情報コーディネーターであるサー・デヴィッド・オマンドは、「政治家というのは考え方を変えたがらない生き物だ。良い情報カスタマーというのは柔軟に構え、どんな情報が入ってきてもそれを受け入れることができる人々だ」ともっともなことをおっしゃっていましたが、最後に「これからのデータ処理の超高速化と生体コンピューターの開発によって、戦場だろうがどこだろうが個々人間のインターフェースが可能となる。現在我々はインテリジェンス革命に直面しているのだ(ほぼ聞こえたまま訳(汗))。」と若干(?)な一言を付け加えておられました。恐らく同じ事を日本人がしたり顔で話すと、「士郎○宗お好きなんですね?」と丁重に突っ込まれそうですが、イギリスのインテリジェンスを束ねておられた方のご意見となると重みが増すものです(もしかしたらイギリス情報機関で極秘裏に開発されているのかもしれませんが…)。
 ところでティータイムの際、マイク・グッドマン博士にJICのオフィシャル・ヒストリーの進展具合を尋ねたところ、「いやー、手こずっちゃっててあと2年ぐらいかかるかな…」との回答が返ってきました。
 
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by chatnoir009 | 2009-10-24 00:51 | インテリジェンス