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ホワイトホール61番地 ~ インテリジェンスを学ぶ

「めちょっく」or「キラやば~☆」?

FBI: A History

 先日、エジンバラ大学のロードリ・ジェフリー=ジョーンズ教授から、『FBIの歴史』を贈っていただきました。それも何と翻訳・出版されたばかりの日本語版です。原著の方は2007年に出版されていまして、イギリス人の手によるFBI史ということで話題にもなりましたが、本書はFBI設置の1908年からさらに遡ること、1871年から話は始まり、最近の9・11テロまでの時代をカバーしている包括的なものであります。本書のスタンスは基本的にFBIに手厳しく、そして人種偏見という観点を通じてFBIの活動を検証しています。FBIはその創設期から現在まで市民、共産主義者、ウーマンリブ、同性愛者やリベラル派の政治家まで、ありとあらゆる監視の網を広げてきたということですが、このような観点はやはり長年アメリカにおけるリベラリズムを研究してこられたジェフリー=ジョーンズ教授ならではの観点といえます。
e0173454_22274493.jpg 恐らく本書の白眉の一つはFBIの前史をきちんと描いたことでしょうか。19世紀にはFBIの前身がKKKとの闘いを繰り広げたこと、1908年の組織設置の後もしばらくは強制売春や白人至上主義者の摘発の任務を行なう組織であったことは、私も初めて知りました。FBIが現在のような組織になるのはやはり二度の大戦で外国とのインテリジェンス戦争を戦ったこと、そして48年間もの長きにわたって長官の座に居座り続けたエドガー・フーバーの功績によるものでしょう。ただ本書はフーバー時代の弊害について、詳細な検討を加えながら指摘しています。
 第二次大戦後の歴史は、新たに設置されたCIAとの確執や赤狩り、ケネディ暗殺やウォーターゲート事件などよく知られたストーリーとなりますが、FBIも組織的腐敗とは無縁ではなく、フーバーがその死によって長官を座を降りた1972年以降の組織的混乱もよく描かれています。冷戦後の焦点はやはり9・11に関しての話が大部を占めていますが、その結論はFBIに手厳しいものとなっています。当時FBIには21人のイスラム語要員と6人のアラブ系職員しかおらず、彼らが全米に数百万人いるとされるアラブ系移民をチェックするのは根本的に無理な話だったということらしいですが、この原因も元を辿れば、女性やマイノリティーの登用を拒否し続けたフーバーにあるのでしょう。9・11に関してはまだ明らかになっていない部分もあるでしょうから、教授の今後の研究に期待したいと思います。ただ教授によりますと、次回作の構想はもう決まっているそうです。
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by chatnoir009 | 2009-06-17 22:28 | 書評 | Trackback | Comments(0)
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