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proactive

 イギリスからインテリジェントな人々がやって来ましたので意見交換をしていたのですが、彼らの話で興味深かったのは、①イギリスでも最近設置された国家安全保障委員会(NSC)はそれなりに上手く機能している。特に昨年10月の国防戦略レビュー(SDSR)を作成する際には、組織横断的に国家戦略をまとめることができた、②今一番大きなテーマの一つはサイバー・セキュリティーで、そこに今後10年間で1000億程度の予算がつぎ込まれる、とのことでした。
 サイバー・セキュリティーはもちろんファイアーウォールのような防御手段を強化することが第一ですが、面白かったのは彼らが「proactive(事前予防)」という言葉を多用していたことです。語感的に「proactive」は、攻撃的とまではいかないにせよ、こちらから何か仕掛ける、といった意味合いがあるかと思います。少し前のイラク戦争時に良く使われた「preemptive(先制攻撃)」よりは控えめで、冷戦時の「deterrence(抑止)」よりは積極的と言えるのでしょうか。アングロサクソンはこういった概念を生み出すのが好きな人種ですね。彼らの念頭にはテロ組織のネットワークに攻勢をかけるようなイメージがあるかと思いますが、この考え方をウィキリークスに応用すれば、恐らくウィキリークスのサーバーやシステムに直接攻撃を加えてダウンさせるような話になるのかもしれません。我が国にも攻性防壁という素晴らしいアイディアがあると言ってみようかとも思ったのですが、英語で説明するのは難儀なのでやめときました。いずれにしてもイギリスでは現在、ロンドン証券取引所のネットワークなどに対するサイバー攻撃の予防、また事後の対処法等がシュミレーションされているようです。
 あと、現在進められているイラク戦争検証独立委員会(チルコット委員会)の最終報告書が3月中に出るらしいとのことでした。さらに同じ時期、2005年7月7日に起きましたロンドン同時多発テロの最終報告書も政府に提出されるとことで、3月から4月にかけてはイギリスの公開情報から目が離せません。
by chatnoir009 | 2011-02-04 21:42 | インテリジェンス