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モサド長官人事

 先月、モサド長官、メイル・ダガン氏が辞任し、後任にタミル・プラド氏が着任しました。イスラエルのマスコミはこの長官交代劇を機に様々な情報を流しています。例えば2006年に行われたレバノン侵攻は燦々たる結果に終わり、ダン・ハルーツ参謀総長が責任を取って辞任したわけですが、ダガン長官の進退もかなり危ういところだったようです。その時は当時の副長官「N」氏を解任することで乗り切ったそうですが。結局今回のダガン氏の辞任は直接的ではないにせよ、昨年1月にドバイでモサドと見られるメンバーがハマスの幹部を暗殺し、その一部が監視カメラに写っていたというスキャンダルが引き金となったと考えられます。しかし振り返ってみますと、ダガン氏の長官在任(2002-10)は留任に留任を重ね、伝説的モサド長官となったイセル・ハルエル氏(1952-63)に次ぐ長期政権となりました。
 後任のプラド氏は、国防軍時代に特殊部隊員として1976年のエンテベ空港強襲作戦に参加し、その後モサドに参加、2006年のレバノン戦争では一旦軍人としてイスラエル軍参謀本部で勤務した後、モサドの副長官になったようです。2007年には「T」という名前でプラド氏が次期モサド長官に就任するということが報道されていましたが、ダガン氏の長官留任が決まったために、プラド氏は退官、民間企業の役員に収まっていました。
 今回、ネタニヤフ首相はダガン氏の任期延長を拒否して、プラド氏を呼び戻した形になります。前任者のダガン氏が対テロ専門の武闘派だったのに対して、プラド氏は盗聴など秘密工作の専門家だったようです。イスラエルの「ハァーレツ」紙によりますと、モサドは今回の長官人事を概ね肯定的に捉えているようですが、就任早々プラド長官は緊迫する隣国のエジプト情勢に直面することになります。この難局をどう乗り切るのか、新長官の対応能力が問われることになるでしょう。また別の報道によりますとタミル氏は長官として、ドバイの秘密工作で英国の偽造パスポートを使用したことを英国政府に謝罪する用意があるとのことです。

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       マスコミの前に姿を現したプラド氏。一昔前ならあり得ない光景です。
by chatnoir009 | 2011-02-02 20:47 | 国際情勢